









SOLD OUT
Soft cover /Color / Letter size(216x279mm) / Staple bind / LED print / 67P / edition 50
All photographs were taken between 2008 - 2016 in N.Y
published in 2019 - First Edition
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写真集 『私家版・Libido』 についてのエッセイ
アーサーと初めて会った時、僕には他にボーイフレンドがいて、ごくたまに性欲を満たすために会う、秘密の関係だった。しばらくして、私はボーイフレンドと別れて、帰国までのアメリカ生活を彼と過ごした。
彼にはいくつかのフェティシズム的な嗜好があり、詳しくは書かないが、それは僕を興奮させた。彼が、僕の足の指を舐める時、僕が彼を見下ろす時、同時に僕は世界を見下ろすことができた。サディステックな立場は、僕の精神を客観的な視点にしてくれた。
そして、僕は写真家の仕事を思いだす。
僕がニューヨークへ渡米したのはリーマンショックが起きた頃で世界の状況はゆっくりと悪くなっていくところだった。そんな風に環境が少しづつ変化していく中で、この国では自分の権利のために戦う人々の姿を頻繁に目撃した。それは、日本で見かけない激しく感情を露わにするものだった。彼らの姿は、僕の胸を強く打った。
同時に、この街にはたくさんのマイノリティがあり、彼らには、それぞれのルールと美学があった。誇り高く自らを解放している姿は、いつも本当に美しかった。
そうして、その光景を目にするたびに、自分も彼らの一部になろうと努力するように、シャッターを切った。だけれど、シャッターを切れば切るほど、僕は真面目な傍観者になっていくだけのように感じた。
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